地獄の出口を求めて

おじさんの地獄生活の記録。某国立大で博士号を目指して研究に従事。しかしギャンブルにハマり多重債務者になり借金を背負っての地獄の日々。地獄からの脱出のために日々思ったことやったことをここに綴りたい。

もう手遅れかも

 今日、母親から父親が肺がんと診断され月末に入院、手術を受けることを知らされた。父親とは正直そこまで親しくはないし自分にとってはあまりよく知らない人、他人に近い。腹を割って話したこともないし、父親が今までどういう人生を送ってきて何をどう思って、考えて生きていたかまったくわからない。むしろ憎んだ。今でも憎んでいる部分もあるかもしれない。仕事の都合でアメリカから急に日本に帰国しないといけなくなったのは今となっては理解できるけど、当時まだ中学生だった自分にはただ今まで暮らしてきた故郷からいきなり謎の国へ引き摺り込まれたこと以外なんでもなかった。知らない日本という国での暮らしを強制され、適応できずに何年も地獄を味わった。後にこれが原因でうつ病を患うことになり、そしてギャンブル依存へ。借金地獄へ。
 帰国後は両親は何もケアしてくれなかった。まるで苦しんでいる自分を見て見ぬふり。あの時なんらかの手を打ってくれていれば今頃病気にもならず普通に暮らせていたかもしれない。だから憎かった。今でも無防備だった中学生の自分の面倒を見てくれなかったことに対する恨みも残っているかもしれない。
 ただ、完全には恨めない。病気になった自分に毎月仕送りをしてくれたり時折食料を送ってくれたり。その金を自分はギャンブルにつぎ込んだり借金の返済に充てていた。本当に最悪だ。ギャンブル依存になるのは本人のせいではないという人もいるけどたとえそうだとしても自分は最悪だ。適当な理由で金が必要だと家族から金を無心してはギャンブル。親はもう金が底をつきている状態。今は何をどう考えればいいか正直わからない。ギャンブル依存の怖さ。家族を傷つけてしまった罪悪感。ギャンブル依存者を製造するパチンコ業界に対する恨み。それを容認している日本政府に対する憎しみ。あまりにもいろんな考えが頭の中を同時に巡っていて混乱し、そして落ち込んでいる。今までにないほどに。
 いままで親の支援があって続けられてきた研究を続けられなくなる可能性も出てきた。父親が生還しない可能性もある。もしもそんなことが起きたら自分を許せない。ギャンブル依存に屈して自分の将来をダメにし、家族まで殺してしまったようなものだ。苦しい。ただただ苦しい。後悔の念。押し潰されそうなほどの罪悪感。死んで逃れたいとしか思えない。
 今になってギャンブル依存の本当の怖さを実感できた気がする。パチンコにハマったら時間を無駄にする。健康を害する。よく言われていることだ。でもそんなことはまだ可愛い方だ。ギャンブル依存の本当の恐怖は一人の人間の人生、そしてその人の周りにいる人の人生を粉々に粉砕するところにある。こうして追い詰められて初めてその恐怖を肌で感じることができた気がする。今はまさに自分のこれからの人生がどういう方向へ向かうかが決まる時だ。神に今一度許しを請う。許しを得られるのであれば必ず改心してみせる。でも、許しを得られなくて地獄に叩き落とされても自分はそれを甘んじて受ける。